mountain bookcase【森のブックマルシェ】

「森のブックマルシェ」出店者のご紹介もいよいよ終盤戦!
山での、森での、古本市……となれば、こちらの店舗を外すわけにはいきません。
山梨県北杜からお招きする移動古本屋ユニット「mountain bookcase」。すでに甲信越の古書好きなら知らない人はいませんね!
ふたりの女性店主によるツボを押さえたセレクトはもちろんのこと、感動してしまうのは、販売用の本1冊1冊に、本についてのコメントが丁寧に記されていること。これを「本への愛」と言わずして何と言いましょう!
下記にある「お薦めの本」へのコメントにも愛がたっぷりです。どうぞゆっくりお読みください。

 

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森のブックマルシェ 出店者ご紹介 vol.8

mountain bookcase [北杜]  

 

__当日は、どんな本をお持ちいただけますか?

暮らしの本、エッセイ、小説、絵本、写真集など

 

__自己紹介とメッセージをお願いします!

私たちはイベントやカフェなどを中心に活動している移動古本屋ユニットです。山や森歩きのように発見のある、日々の暮らしのための本を取り扱っています。
本はひとりで読むものですが、読んだことを誰かと共有したり、感想を聞いたりすることで
1冊の本がよりたくさんの意味を持つものになる。本にはそういう楽しみ方もある気がします。
そんな気持ちから、わたしたちが扱う古本には全て値段と一緒に感想やコメントを書く事にしています。

 

__お奨めの本を教えてください!

いちばん最近読んだお気に入りの本

「世界はうつくしいと / 長田弘」

いちばん最近読んだ本であり、何度も読み返したことのある、長田弘さんの詩集。
読むタイミングは決まっていて、心細くなったり おっかないテレビのニュースに不安になった時。
その日、外は雨で 体調を崩していたのでお腹も頭も喉も痛くて、何もかもが不安だった。
不安だということを誰かに言いたい気もするけど、言って面倒くさがられるのなんてもっと怖いなあ。そうやってめそめそしていたら、この本が目についた。

「世界はうつくしいと」
ゆっくり声に出しながら読んでいくと、バックパックで日本中うろうろしていた時に出会った人たちの顔が浮かぶ。りんごをくれた青森のじいちゃん、大雨の日フェリーから駅まで送ってくれた夫婦、杏仁豆腐をおごってくれた片腕の無いにいちゃん。
みんなやさしくて、その出会った風景も含めて、世界はとてもうつくしかった。

なんで忘れていたんだろう、と思ったのと同時に、この詩を読んだ人が思い浮かべる「うつくしい世界」は読んだ人の数だけあるのかと思うと
自分の頭の中だけにある、この詩の風景がすごく特別なものに感じて「もう大丈夫だ」と思えた。
声高に賞賛されることはないけれど、本というものはずっと、誰かを支えたり寄り添ったりしてくれている静かな友人のような気がしています。
この本は私にとって、かけがえのない一生の友人です。(池上)

 

DATA

mountain bookcase
(実店舗はありません)
 

 写真