「Book-nick in Kitakaruizawa 2012」を振り返って【vol.4】

いよいよ振り返りの記録も最終回。
10月20日・21日の週末、百年文庫のある「ルオムの森」テラスデッキでは、百年の森ブックマルシェを開催しました。

古書店や、新刊の絵本やリトルプレスを扱うブックショップが揃う青空本市。
昨年につづいてのブックマルシェは、今年あらたに加わってくださった方も含めて計7店舗と賑やかに。

ルオムの森にこの春新しくできた屋根付きのバーベキューテラスとその周りのスペースを利用して、森のなかに、ゆったりとお店屋さんが並びました。
デザイン&編集室も兼ねる長野の「ch.books(チャンネルブックス)」からは、一般の書店にはあまり並ばない自主流通のzineやリトルプレス、紙製品など。

同じく長野市のブックカフェ「ひふみよ」からは、ライフスタイルや旅をテーマにしたわくわくするようなカウンターカルチャー系の古本や絵本。

この秋、中之条から拠点を移転される「唯書館」は、さすがは老舗、幅広い古書をバランスよくたくさんお持ちいただきました。

硬派な品揃えでいえば、海外文学を中心に文芸・哲学などのジャンルをきっちりプロのセレクトで並べてくれた、長野の「遊歴書房」。

ていねいにパラフィンがけされた”ぐっとくる1冊”を揃えてくれるのは、高崎発・出張専門古書店「suiran」。

はるばる東京から手芸書や絵本、エッセイなどをたっぷり詰め込んで、独自の世界観を作り出してくれた「古書玉椿」。

そしてわれらが群馬の大先輩、洋書絵本の専門店「フリッツアートセンター」も「ロバの本屋」として、車の荷台に可愛らしい幻の本屋を作ってくださいました。
どれもこれも個性的な本屋さんばかり。
あっちをのぞいて、こっちに戻って、やっぱりもう一度あそこを・・・と、ぐるぐる、ぐるぐる。幸せな目眩にくらくらしてしまいます!
見上げれば頭上には色づきはじめた梢の重なり。
フィールドアドベンチャーを楽しむ子供たちの声も聴こえてきて。
こんなブックマルシェが、一年に2日だけといわず、毎週の市のようにたってくれたら素敵なのに・・・
お外でおこなうイベントとしてはギリギリの気温。
そんななか、2日間にわたりご参加いただいた各出店者さま、このたびはほんとうにありがとうございました。



さあ。2012年ブックニックの振り返りはこれでおしまいです。

9日間の、自然のなかで本と親しむピクニック、いかがでしたでしょうか。
昨年の第一回に較べると、会場も広がり、開催期間も伸ばし、イベントの数も増やして企画してみました。
概ね、お天気にも恵まれ、「本」をきっかけにして、秋の始まりの北軽井沢を楽しんでいただいたこと、私たちとしても嬉しく感じています。

同時に、告知の不足や、運営のための人員が足りないことなど、主催する側として、まだまだ至らなかったことも色々とありました。
お客さまに向けられるはずの視点が、自分たちの思い込みなどが先行してしまった部分などもあったかと思います。
北軽井沢という地域の持つ魅力を伝えたい反面、活かしきれずに終ってしまったかな、、という反省点もあります。

それでもやっぱり、こうして振り返ってみて思うことは、「本」が好きだなぁ、そしてこの北軽井沢という場所が好きだなぁ、ということに尽きます。
自分勝手と言われてしまうかもしれませんが、自分たちが好きでたまらないこの要素をうまく結びつけて、それが、この場所に縁のある方にも、よそからやってきてくれる方とも、何かしらのかたちで時間や空間を共有する機会になってくれたら・・・そんな機会をこれからも創り続けていくことができたら・・・と願わずにいられません。

カタチは変わっていくかもしれませんが、来年以降も秋の本のピクニックは開かれることでしょう。
次回はさらに、「本」と「自然」を通したさまざまな楽しみ方をご提案できるよう、またいちからピクニックプランを立ててみたいと思います。

それではみなさん、また次回、北軽井沢の秋の森でお会いしましょう!!



浅間山はこの2日後、この秋の初冠雪を迎えました。


「Book-nick in Kitakaruizawa 2012」を振り返って【vol.3】

 
 
10月19日、麦小舎では製本ワークショップ森のスケッチ帖をつくるを開催しました。

 
講師は、東京からわざわざ来ていただいた「空想製本屋」こと、本間あずささん。
製本というお仕事に対する誠実な姿勢を、以前から人づてに聞いたりブログなどで拝見していて、今回ぜひお招きしたいなぁとお願いしてみたところ快諾していただきました。

 
参加してくださったのは、高崎や伊勢崎など群馬からの方と、長野の東御からの方。
片道けっこうな距離があるのに、この日を目指して集まっていただいて、ありがたいことです。

今回のワークショップ。ただ、机を前に作業をするだけではもったいない。この季節、この場所だからこその愉しみを加えたいですね、と事前に本間さんとご相談。
簡単な自己紹介などをすませたら、まず、スケッチ道具とまっさらな紙を持って、皆さんにはお外に出かけてもらいます。
森で、草原で、木の葉や実を拾ったり、風景をスケッチしたり。
この日もとても気持ちのよい秋晴れのスケッチ日和!
色づいた葉や、浅間山、庭でまどろむ猫たちなどを描いたり、森の落とし物を拾い集めながら、ゆっくりと1時間ほどを過ごしました。

テーブルに戻ってからは、それらバラバラの状態の一枚一枚を、きちんとした製本の技術を用いて綴じていきます。
使用するのはシンプルに針と糸のみですが、針を刺す順番を間違えないように、重なりがずれないように、細心の注意をはらいながらの作業のため、みなさん真剣そのもの。
私は詳しいところまで説明を聞けていないのですが、リンクステッチという縢りの製法を使って、10枚ほどの画用紙と裏表の表紙をリボンで綴じ、一冊の本の形になるところまで皆さんで仕上げました。
今回は扱いやすい柔らかい紙を使いましたが、基本さえ憶えてしまえば、分厚い紙でしっかりとした本の装幀にも活かせるのだそうです。

今日という日に出会った風景やモノを、自分の手で一冊の本というカタチにまで仕立てられるというのは、なかなか味わえない経験だと思います。
WS後も、お茶を飲みながら、製本についての質問を本間さんに答えてもらったり、終始なごやかで穏やかに過ぎた3時間。

(この日、白一点の参加者だった方が、あとからこの日の内容をブログにまとめてくださっていました。ぜひこちらもご覧になってみてください。)

 
買う、読む、書く、だけではない、「つくる」という本との関わり方。

紙の本が衰退していくといわれるこの時代に、”身体的に”本を楽しむという行為は、もしかしたらこれまで以上に私たちにとって意義のあるものになっていくのかもしれません。

次回はぜひ私自身が挑戦してみたいと思っています。
空想製本屋・本間さん、参加してくださった皆さん、はるばるありがとうございました。

 
 
 
そしてブックニックもいよいよ最後の週末2日間へ。

 
10月20日・21日限定で行なわれたイベントの一つが東北銘菓フェス
東京・谷中で行なわれる東北の銘菓とお茶を楽しめるイベントの出張版を麦小舎にて開催しました。

協力してくださったのは、本家フェス発起人のイラストレーター・小関祥子さん。
土曜日はこの日のために東京から日帰りで(お伴にフェスのゆるキャラ!?お手製の”めいかちゃん”を連れて)やってきてくれました。

この日、ご用意したお菓子は3種類。岩手の亀の子せんべい、宮城の支倉焼、そして福島出身の相方にも馴染み深い焼き菓子「檸檬(れも)」。

これらに、岩手県沿岸南部・気仙地方に古くから伝わる「気仙茶」の再興に携わる「焙茶工房しゃおしゃん」の気仙茶か、麦小舎オリジナル・トンビコーヒーの珈琲どちらかをお付けして。
さらに、東北銘菓の魅力を推薦人の言葉で紹介するフェス限定の冊子「東北銘菓マップ」をセットにしたものを、カフェメニューとして提供しました。

 
当日は、フェスメニューのことを楽しみに来ていただいたお客様から、この場で知ってご注文してくれた方までさまざま。
お話を聞いてみると、東北にルーツがあって「○○というお菓子も美味しいんですよ」とお薦めしてもらったり、「以前、旅したときにこの○○に出会いました」という思い出がおありだったり、お菓子を通じて、東北との繋がりのお話がたくさん!
それも皆さん、お菓子を頬張りながら笑顔でお話してくれたことが、提供するこちらとしてもとても嬉しくて。
私たちは単に仲介役でしかないのですが、自分で作ったものが喜ばれたような嬉しさがあったり。

 
お菓子を食べているときに悲しんだり怒ったりしているひとはあまりいません。
誰もがほっとひと息ついて安らぎを感じる「おやつの時間」というものを入口にして、あらためて今、東北のことを考えてみること。

それは決して直接的な支援でもなんでもないけれど、そこからもしかして東北を実際に訪ねるきっかけになったり、いずれ「ああ、あのときの!」と思い返して懐かしくなったり、そんなふうなゆっくりと広がる波紋を生む小石みたいな機会になれればいいな、という思いがあったのですが、それがお客様に届いたとしたら幸せなことです。

 
当日は少しバタバタしてしまって、一人一人のお客様に丁寧にご説明できなかったことが残念ですが、この「東北銘菓フェス」は、また本家・谷中で来月の開催が決まっています!
お菓子もたくさんの種類のなかから選ぶことができますので、今回来られなかった方はぜひこちらに足を運んでみてください。(詳細はこちら

 
最後に、今回お出しした「気仙茶」について、もう少しだけご紹介させてください。

気仙茶というお茶があること自体、私も小関さんに紹介していただくまで知りませんでした。
それもそのはず、栽培の歴史は古く江戸時代まで遡るものの、その後大きく普及することはなくほとんどが自家用として作られる程度。
そのお茶の美味しさに着目して、2005年から再び長く摘まれていなかったお茶の木を摘み、緑茶や烏龍茶として販売をされているのが、岩手県雫石「しゃおしゃん」の前田さんです。
今回前田さんから直接送っていただいたお茶は、実は8年程前に収穫され、寝かされていた緑茶を焙煎して整えたものです。
緑茶といえば新茶で飲むイメージが強く、焙煎と聞いて「どういうものなんだろう?」と思っていたのですが、試飲させていただくと、たしかに緑茶のフルーティーな爽やかさがあるものの、同時に熟成した香ばしい甘みが広がって、味わい深いのにとても飲みやすい。
少しプーアール茶などの中国茶みたいな雰囲気があるのですが、だからといってかしこまって頂くものでもなく、普段の食卓のお茶としておおらかに飲みたくなる気取りのなさ。
東北にこんなお茶があったのかぁ、ととても意外でした。
こうしたお茶の存在を知るのが震災を機に、というのは、少し皮肉というか、申し訳ないようなうしろめたさを感じてもしまうのですが、前田さんのように、地域に伝わる文化を地道に再興していこうとがんばる人と出会えることは、それだけでわくわくするような嬉しさを感じられること。
お茶を送って頂いた時に添えられていたお手紙にも、前田さんという方の実直なお人柄が滲み出ているようで、じわっと心が温まりました。
前田さんのお茶に対する思いについては、「焙茶工房しゃおしゃん」のHPをご覧ください。

 
 
【ここでおしらせ】

東北銘菓フェスはこの2日間で終了しましたが、送っていただいた気仙緑茶がまだもう少し手元にあります。
ですので、麦小舎の残り1ヶ月の営業期間中も、カフェメニューのひとつとしてご提供させて頂こうと思います。
お茶に合うようなおやつのメニューも考えてみますね!

 
 



「Book-nick in Kitakaruizawa 2012」を振り返って【vol.2】

 
 

10月14日には、麦小舎で「a day for book, music and picinic !!」。

 
事前に予約いただいた方だけの、秘密のピクニック開催日は、すばらしい秋晴れに恵まれたまさにピクニック日和の一日となりました。

 
まず第一部は、東京から編集者の山村光春さんを、軽井沢から絵本作家「accototo」のお二人を招いて、2つのワークショップを同時開催。

山村班(!刑事みたいですね)は、サンルームのテーブルを囲んで、「編集」をテーマに、言葉で伝えること、表現することについてのお話を。
山村さんの巧妙なトークのおかげもあり、途中から参加者の皆さんの顔にどんどん熱が加わっていくのがわかりました。

accototoこと福田班は、「絵本をつくろう」というテーマ。
白い画用紙を配られ、絵本をつくる際の絵コンテづくりから、実際にページを埋めていく作業までを、限られた時間のなかにも関わらず、皆さん熱心に集中して取り組んでいました。
 


 
2時間というワークショップはあっという間に過ぎて、さあ、お昼の時間です。

ランチは、軽井沢の「ありんこ菓子店」ありさんによるピクニックバスケット。
お野菜やお豆、チーズなどボリュームたっぷりの温かいキッシュ、ホロホロサクサクのスコーン、焼き菓子の詰め合わせ、そしてこの日のために手作りしてくれた「ありんこ本」まで!
見た目にも、味わっても、幸せな気持ちになるようなこのスペシャルランチ製作のために、ありさんは事前に何度も試作を重ねてくれました。
その成果あって、ボックスの蓋を開けたときの皆さんのキラキラした顔といったら!

麦小舎の庭の思い思いの好きな場所で、ゆっくりとお食事を楽しんでいただきました。

初めて会った参加者の方同士も、美味しいランチをはさんで、お話に花を咲かせていました。


 
そして午後の部は、お待ちかね、tico moonのお二人によるスペシャルライブを、薪ストーブのついた店内で。

 

 
毎年秋がくるたびにライブを行わせてもらって、今年で5回目。もはや麦小舎の秋に欠かせない大切な節目のようなイベントです。
ポロンと弦が弾かれて、やさしい音色が小屋中に広がると、室内の空気がとろんと柔らかくほどけます。

 
途中、山村さんとのトークでは、作品のタイトルにまつわる内緒話から、山村さんの靴下が左右反対であることへの影山さんのツッコミまで、初対面とは思えない笑いを誘うやりとりがあったり(3人ともさすがは人を楽しませるプロですね)。

ライブではできたばかりのまだ名もない新曲も聴かせていただきました。

アンコールに2曲も応えていただき、気づけば日も傾き始める時間。

6時間を超える長い一日にお付き合いしてくれた参加者の方々と、最後に少しゆっくりお話をさせていただきましたが、みなさん、今日という日をゆったりと楽しんでくださった様子。

こんなピクニックがあったらいいな、というものを盛り込んで、少し欲張りすぎたかな、と不安もあったのですが、温かい反応にこちらまで嬉しい気持ちになりました。
(なかには遠く広島から駆けつけてくれた方もいてびっくりしました!)

秘密のピクニック、いずれまたこっそりと開催されるかもしれません。

そのときにまたお会いしましょう*


 
 
 
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10月15日、麦小舎には谷川俊太郎さんがいらっしゃいました

 
ブックニックを開催するにあたって、どうしても叶えたかった夢のひとつ、それが谷川さんにここでお話をしていただくということでした。

夏の間に谷川さんがお店にいらして、「いいですよ、やりましょう」と言ってくださったときの喜びは、今でも忘れられません。
その嬉しさは私たちだけではなかったようで、9月に行った参加予約申し込みでは、受付から1時間足らずでお席は定員いっぱいに。
その後もたくさんのお問い合わせをいただきましたが、小さな店舗が会場ゆえお断りせざるを得ず、ご迷惑をおかけいたしました。

さらに、受付を終了したあとに、トークのお話相手として、谷川さんと同じ北軽井沢「大学村別荘地」の住人として親交もある作家・長嶋有さんが名乗りを上げてくださって、さらに贅沢なイベントになってしまい、私たちも、楽しみと不安が混ぜこぜになったハラハラどきどき感を抱えながら当日を迎えることになったのでした。

 
この日も、穏やかな秋晴れとなり、少し早めに到着された谷川さんは、お庭でチャイを飲みながら(チャイがお好きなようでいつも注文されます)ひとやすみ。
そこに有さんも到着されましたが、この日の内容についての打合せのようなものはいっさい無し!

こうしたイベントに不慣れな私たちがしどろもどろしている間に、さらっと「で、有くんはいつからこっち来てるんだっけ?」の問いかけから徐にお話会スタート!

それから終了までの1時間半ほどの時間のことは、実はほとんど頭が真っ白になってしまって記憶がありません(苦笑)。
掛け合いを続けるお二人の絶妙なトークと間合いは途切れることなく、初めは緊張していたお客さまもどんどん前のめりに引き込まれていき、そのうち大きな笑い声も巻き起こるまでに。

山暮らしのこと。気候のこと。軽便鉄道のこと。初恋の女の子のこと。若いころの旅のこと。好きな車のこと。物を書くということ。そして、骨董屋さんである有さんのお父さんニコニコ堂さんのこと。

有さんが巧みに話題を引き出してくれたかと思うと、逆に谷川さんからの質問攻めにあったり。お二人のバランスがちょうどよくかみ合って、こじんまりした場の空気とも相まって、どちらかの山の家に少人数で遊びにいったかのような、親密で穏やかな雰囲気の漂う和やかなお話会になりました。

後半には、山で創作された詩の原稿を、初期、中期、後期のもの、と説明を加えた上で、朗読してくださいました。
これまで活字で頭にインプットされていた言葉の連なりが、声(それもご本人の!)という音のかたちで耳から飛び込んでくる体験は、私自身あまり経験がなかっただけに、とても新鮮で、体の中にビリビリと電流が走るような気持ちになりました。

個人的には、それまで「あの人」と書いていた女性を指す表記を、岸田衿子さんと出会って衿子さんのことを指し表すようになってから、ひらがなでの「あのひと」に変わった、というエピソードが、おふたりの仲睦まじさをあらわしているようで、微笑ましく印象に残っています。

 
夢うつつのような時間はあっという間に過ぎて、お話会は終了となりましたが、その後も、会場で販売した本を買われた方ひとりひとりに丁寧にサインをしてくださったり、お写真にも入って頂いたり、と、最後まで温かくお付き合いくださった谷川さん。
(打ち上げのお食事会にも参加いただき、ワインを飲みながらまたたくさんお話してくれました!)

傘寿とは思えない若々しさ。失礼を承知で書かせてもらえれば、とてもチャーミング。
誰に対しても穏やかで優しくて、若い世代との交流も厭わず好奇心旺盛。
作品はもちろんのこと、そうしたお人柄がたくさんの方から支持され、愛される理由なのだろうなぁ、と実感しました。

ぜひまた、こうしたお話会の場を作れたらいいなぁと、余韻にひたりつつ早くも夢みております。

俊太郎さん、有さん。ほんとうにありがとうございました!

 
 




 
 


「Book-nick in Kitakaruizawa 2012 」を振り返って【vol.1】

 
 
秋の北軽井沢を舞台に、9日間にわたっておこなった第2回「ブックニック」。
それぞれのイベントにお越しいただいた皆さま、ご協力いただいた関係者の皆さま、ありがとうございました!

これから数回にわけて、今年のブックニックの様子を振り返ってみたいと思います。

 
 
10/13(土)、ブックニック初日。

 
百年文庫では、この日から3日間、佐野洋子の本屋 北軽井沢店と題して、北軽井沢を愛した絵本作家・佐野洋子さんの原画の展示と、著書を集めた期間限定本屋さんを開店しました。
 
 
この企画は、佐野洋子さんの息子さんであるイラストレーター広瀬弦さんら、「オフィスジロチョー」さんの協力のもと実現できたもの。
前日から北軽井沢入りしてくれたジロチョーメンバーさんたちが、百年ギャラリーを見事、洋子さん一色のお部屋に大変身させてくれました。

ひとつ目の部屋には、銅版画(エッチング)の小品を壁一面に。
ふたつ目の部屋は、絵本などにも使われた「猫」がテーマの絵がずらりと。
自筆原稿もあわせて展示されました。

また、親交深かった作家・長嶋有さんの山の家に飾られている「猛スピードで母は」の表紙の絵の原画も、特別に長嶋家よりお借りしてお披露目しました。

著作は、現在刊行されているものほぼすべて、年代順に並べられ、年を経ることでイラストなどが少しずつ雰囲気を変えていく様子も見ることができ、冊数もこれだけ揃うと圧巻です。

来場されたお客様は、お子さんから年配の方まで幅広く。それぞれの方にとっての洋子さんの絵や作品への想いがあるようで、熱心にひとつひとつじっくり時間をかけて鑑賞し、お気に入りの著書を大切そうに買い求めて行かれました。

窓の向こうには、洋子さんも見慣れていた北軽井沢ののどかな秋の景色が広がって、今にも入り口から「アンタたち、こんなとこに集まって何してんの?」と、ご本人がぶらりと現れるような錯覚を憶えるほど。

小さな展覧会ではありましたが、この場で作品に直に触れることで、あらためて「佐野洋子」という存在の大きさ・普遍性を感じ、洋子さんが好きだった素朴で長閑なこの村のことをなんだかますますいとしく思えるようになったのでした。

 
 
麦小舎では、東北ブックコンテナの展示販売が始まりました。
 

 
岩手、宮城、福島、秋田、山形の各県から届いた、地域を紹介する本や冊子、お土産品。
それらがひとつひとつ可愛らしくパッケージされたものがずらりと揃って、さながら小さな東北物産展のよう!

 
岩手からは、冊子「てくり」を中心としたセットに、バックナンバーや別冊がずらり。(新刊の「いわてのうるし」は特に見ごたえたっぷりの一冊です。)

 
宮城からは、ブックカフェ「火星の庭」セレクトのセットのほか、地域刊行誌やリトルプレス、木版画のポストカードなど。

福島からは、冊子「oraho」をはじめ、お箸や蜜蝋キャンドルなど小さな工芸品の詰め合わせが可愛らしい手提げ袋のなかに。

秋田からは、今話題の冊子「のんびり」ほか、なまはげサブレなどのお菓子も入った愛嬌たっぷりのお得なセット。

そして、山形のセットは、ガラス工芸や特製ポストカードなどが、本物のさくらんぼ用のボックスに詰め合わせになっていたり!

もちろん、それぞれの地域のごく一部の文化を垣間見るだけには違いないのですが、実際にそこに暮らすひとが自分たちのオススメするものを、ひとつひとつラッピングして「おひとつどうぞ」と差し出してくれる・・・そんなぬくもりを感じられる展示になりました。

セットはひとつひとつ内容も異なっているので、お客さんも楽しみつつ真剣(!)にお気に入り探し。
普段、遠くに感じてしまう「東北」を、少しでも近くに思えたり、実際に訪ねてみようかなと思うきっかけになればいいなと企画してみたのですが、もうほんとうに、すぐにも駆けつけたくなってしまい困ってしまいます!

東北地域の持つ懐の深さにあらためて感嘆すると同時に、「自分たちの暮らす町を紹介するならどんな形になるのだろう・・・」ということに思いを傾けてみるきっかけにもなりました。

いつか逆のかたちで自分たちの「コンテナ」を携えて、東北のあちらこちらを訪ねてまわれたらいいなぁと思います。

 
 
【ここでおしらせ】
「東北ブックコンテナ」は、好評につき、ブックニック後も期間延長して展示販売させて頂くこととなりました!
11月25日(日)、麦小舎の今季営業最終日まで、“ムギコヤサンルームギャラリー”にて展示いたします。
期間中いらっしゃなかった方も、この機会にどうぞお立ち寄りください。
 
 


明日(20日)の営業時間の変更のお知らせ

 
 
「Book-nick in Kitakaruizawa」は、いよいよ、20日(土)21日(日)最終週末を迎えます!

百年文庫/ルオムの森では、7つの書店さんが集まる青空本市百年の森ブックマルシェ
麦小舎では、引き続きの「東北ブックコンテナ」展示販売とあわせて、この2日間限定で東北銘菓フェスを開催します。

お天気もピクニック日和となりそうですので(ただし冷え込んできましたので寒さ対策はお忘れなく!)、2会場をハシゴして、秋の北軽井沢を満喫して頂ければと思います!

直前ですが、営業時間の変更があります。
明日20日(土)、麦小舎のオープン時間が10:00から11:00へと変更となります。(ラストオーダー16:00)
ルオムの森でのブックマルシェは予定どおり2日間とも10:00〜16:00の開催です。
よろしければ、先にマルシェ会場へご来場ください。
(21日の麦小舎は通常通り10:00〜オープンします。)

みなさまのお越しをお待ちしております!!
 
 


ブックマルシェ出店者紹介(7)/◎ロバの本屋・フリッツアートセンター(前橋市)

 
 
今週末に迫った「百年の森ブックマルシェ」出店者さんのご紹介、いよいよ大トリです!!
 
 

◎ロバの本屋/フリッツ・アートセンター[前橋市]


 
さあさあ、みなさん、よっといで!森に「ロバの本屋」さんがやってくるよ〜〜!!
おもわず笛を吹き鳴らし、街中を練り歩きたくなってきました♪♪

「ロバの本屋」とは、前橋の絵本専門書店「フリッツ・アートセンター」の出張スタイルの本屋さんのこと。
残念ながら今の時点で生の(!)ロバが引っ張ってきてくれる訳ではないのですが、代わりにとっても可愛いオリジナルの車に本をたくさん積み込んで、山の麓から登ってきてくれます。
扱うのは新刊の洋書絵本。近くの本屋さんではなかなかお目にかかれない、専門書店ならではの貴重な絵本や児童書がずらり並ぶことでしょう。
私たちがロバさんに出会ったのは、フリッツ・アートセンターの敷地で季節ごとに行なわれる「チチリの庭」に遊びにいったときのこと。
木陰にパラソルを広げた車のまわりに、大人も子供も吸い寄せられるように集まってきて…。その光景を見たときから、百年の森にもぜったいロバさんを連れてきたい!そう心に決めたのでした。
本+森+ピクニック。ブックニックの愉しみをすべて詰め込んだような森のなかの移動本屋さん。ぜひご家族で遊びにきてください!!

 
 

DIE BREMER STADTMUSIKANTEN / Lisbeth Zwerger 2006
 
 
【自己紹介】

目をつぶります。
敷島の森に。チチリの庭に。ロバがいたならどんなにすてきだろう、って。
背なかの上にできたての本をのせて、あちこちの家にとどけます。
願いつづければ必ずかなうって、むかし誰かにきいたから。
まずは白い車ではじめます。
その時とその場とそこにいる人にあわせて、丁寧に選んだ本をつんで出かけます。
だからロバの本屋です。

どうぞ、どうぞ。
どうぞ、どうぞ。
 

【店舗ホームページ】
http://www.f-ritz.net
 
 


ブックマルシェ出店者紹介(5)/◎Books & Cafe ひふみよ(長野市)

 
 
今週末に迫った「百年の森ブックマルシェ」出店者さんのご紹介。
 
 

◎Books & Cafe ひふみよ[長野市]


 
善光寺の東側ののんびりとした住宅地。元商店だった古い建物を改築してオープンしたブックカフェ「ひふみよ」には、ゆったりとした時間が流れ、若いひとたちがぶらりと訪れては、思い思いに自分の時間を過ごしている…そんな印象があります。
一階にある壁一面の本棚から、お気に入りの数冊を選び取り、そのまま二階の畳の部屋へ。
夏は扇風機とビールと。夏はコタツで温かい飲み物と。
こんな空間が家の近くにあったら、毎日でも通ってしまいたくなるだろうなぁ。
お食事メニューも美味しいと評判(特にカレー!)なので、尚更居座ってしまいそう!
街に開かれた空間として、街づくりに携わるゲストのトークイベントや、映画上映の企画なども行なうなど、店主・今井さんご夫妻の「ブックカフェという空間を通して、外と繋がっていく」スタイルは、なんだか私たちにも近いものを感じて、いつも刺激を受けています。
昨年につづき、日々の生活や人生にぴりっとスパイスを加えてくれるような本をトランクにぎっしり詰め込んで、爽やかにやって来てくれるに違いありません!

☆10/28には「ひふみよ」さんで、坂口恭平さんのドキュメンタリー映画「モバイルハウスのつくりかた」上映会があるそうですよ!こちらも気になりますー。

 
 

 
 
【自己紹介】

ひふみよは自由なブックカフェ、
あなたの想像力で遊んでください。

ライフスタイル、カウンターカルチャーを中心にセレクトした古本は
立ち読み、座り読み大歓迎!
店内の本は2階カフェでコーヒーを飲みながら
心行くまでお読みいただくこともできます。
古本屋として利用しても、カフェとして利用してもOK。
冬季はコタツ席を用意しています。
ひとりで読書やのんびりしたいとき、
ふたりでゆっくり語りあいたいとき、
ゆるやかに流れるひふみよ時間をお楽しみください。
 

【店舗ホームページ】
http://bookcafe1234.net
 
 


ブックマルシェ出店者紹介(6)/◎唯書館(気仙沼・埼玉)

 
 
今週末に迫った「百年の森ブックマルシェ」出店者さんのご紹介、つづきます!
 
 

◎唯書館(ゆいしょかん)[宮城県気仙沼市/埼玉県]


 
「唯書館」さんと出会ったのは、震災後まもなく。
北軽井沢からも車で40分ほどの群馬県中之条町に、新しく古本屋さんができる、それも宮城から避難されてきている方が始めたと聞き、まだオープン準備中にも関わらずお伺いし、店主・梅川さんにご挨拶をしました。
「唯書館」は、気仙沼では地元住民に長く愛されて来たベテラン古書店さん。それが、津波に遭い、本はほとんどすべて流されてしまったと。
「貴重な本もあったんですけどねえ。」そう話す梅川さんの口調が、決して相手に悲壮感を感じさせるものではなく、むしろ明るく前を向いているものだったことを、今でもよく憶えています。
その後、群馬の古書組合メンバーとして交換会でお会いしたり、中之条「tsumuji」で行なわれた昨秋の青空古本市でもご一緒しました。
本のセレクトはさすが長年プロでいらっしゃるだけあって、「もうこんなに揃えたの?」というほど、文芸全般にわたって幅広く揃えられています。
今年に入って、故郷・気仙沼にも仮店舗を再開させ、またこの秋からは中之条を離れ、埼玉に拠点を移されます。
今回はその忙しいなか、縁あってお付合いができたここ群馬で楽しみたいです、と参加を決めてくださいました。
いわゆる「古書好き」の方にはたまらない掘出し物を持って来て頂けるはず。本に造詣の深い梅川さんとのお喋りもお楽しみに!
 
 

 
【自己紹介】

当店は、1989年に宮城県にて創業いたしました。震災により群馬に避難し再開いたしました。
10月に群馬県より埼玉県へ移転して営業いたしております。また、今年2月には仮設店舗にて気仙沼店を開店いたしました。
埼玉本部はネット・催事販売を中心に、気仙沼店は店舗販売とネット販売を両立し営業しております。
学術書、郷土誌、文芸書など古書全般をお取り扱いしております。
今後、積極的に催事にも参加していきたいと思いますのでよろしくお願いします。
 

【店舗ホームページ】
http://www.yuishokan.com
 
 


ブックマルシェ出店者紹介(4)/◎古書玉椿(東京都多摩市)

 
 
今週末に迫った「百年の森ブックマルシェ」出店者さんのご紹介、後半戦です!
 
 

◎古書玉椿[東京都多摩市]


 
お待たせしました!続いては、昨年につづき出店してくれる「古書玉椿」のご紹介です。
京王線聖蹟桜ヶ丘駅から歩いてすぐ。可愛らしい女性店主(通称おたまちゃん!)が営む玉椿は、海外の手芸書やアートブックを中心に扱う古本屋さん。
まずはこちらのサイトをご覧ください!
このページ自体がヨーロッパの絵本の世界に迷いこんでしまったような、ため息の漏れるデザインと品揃え。
ハンドクラフト、フォークロアといったキーワードがお好きな方なら、あれもこれもと夢中で魅き込まれてしまうでしょう。
単に「かわいい」という基準を超えて、その国でアートやクラフトが根づいた背景や人々の暮らし方にまで迫るセレクトをしているところが、店主おたまちゃんのすごいところだなぁといつも感じます。
自分自身で海外を訪ねて実際に選んできたものも多く並び、本のほかにおもちゃや民芸雑貨などの一点モノも置かれています。
実店舗には、手芸書以外に歴史、思想、音楽、美術、映画、旅、天文、民俗、趣味の本なども扱っています。
本人が森のなかからひょっこり現れたコロボックルみたいな店主おたまちゃんの世界観は、まさに百年の森にぴったり!
期間中、ルオムの森内「百年文庫」にて、古書玉椿による北欧ヴィンテージハンドメイドの雑貨の展示販売も同時開催いたします。あわせてチェックしてみてください!

 
 

 
【自己紹介】

「みなさんこんにちは。
東京・聖蹟桜ヶ丘の古書玉椿です。
ヨーロッパを旅して集めた、手芸書・絵本・アートブックを主として、
国内の人文・海外文学・趣味などの古書、
また世界各国のアンティーク&ハンドメイド雑貨までを、
三角屋根のちいさなお店でお取り扱いしております。
今年も北軽井沢の森の中で、Book-nickに参加させていただくこととなり、
今からどきどき楽しみです。
会期中はルオムの森2Fにて、古書玉椿セレクトによる
北欧のヴィンテージハンドメイド雑貨の展示販売も
同時に開催しておりますので、こちらもちらりと覗いてみてくださいね。」
 

【店舗ホームページ】
http://tamatsubaki.net
 
 


ブックニック期間中の近郊のイベントご紹介

 
 
「Book-nick」期間中の今週末、近郊で行われるイベントのご案内です。
 
 
まず、北軽井沢ではこんなイベントが…..

 
「feel EARTH 2012 in 北軽井沢スウィートグラス」

アウトドアアクティビティやワークショップ、ライブやフード出店など、浅間山を一望する大草原を会場に、楽しい企画がいろいろ!
宿泊付きだけでなく、イベントだけの参加申し込みも受け付けています。
本とふれあい、読書を楽しんだあとは、大自然を満喫!!といった週末を過ごしてみていはいかがでしょう?

会場は「麦小舎」から歩いて5分のところです!

詳しいことはイベントホームページをご覧ください。
 

■feel EARTH 2012 in 北軽井沢スウィートグラス
2012年10月19日~21日
http://www.ei-publishing.co.jp/feelearth2012/
 
 

北軽井沢から車で1時間20分ほどの、長野県小布施町では、同じく本のイベントがあります!
 
「まちとしょテラソ一箱古本市 2012・秋」

 
歴史を感じる町並みが美しい小布施。そのストリートでプロアマ問わず出店する本のフリーマーケット「一箱古本市」が開かれます。
本は、信州らしくリンゴの木箱にずらり並べられるそう!
東京・早稲田界隈のプロの古本屋さん「わめぞ」チームも遠征してきます。
本以外にも、アートやお酒、スイーツなども楽しめるようですよ!
こちらも2日間の開催ですので、土曜、日曜と、信州の秋を楽しみながら本のイベント巡り(ブックツーリズムですね!)をお楽しみください。

 
■まちとしょテラソ一箱古本市
2012年10月20日・21日
http://machitoshoterrasow.com/hitohako.html

 
 


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